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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

トピックス詳細22Topics detail

22)呉越同舟(孫子 九地篇)

 品質の良い製品を安く、タイムリーに供給しなければ顧客の信頼は得られません。このため、ものづくりの現場では、人や機械、材料などの工場の資源を経済的に運用し、生産合理化を目指しています。
 しかし、ものづくりの現場ではいろいろなトラブル、事故が発生しています。原因が究明され、再発防止対策が講じられているものがある反面、新たな原因による新たなトラブルが跡を絶たないのが現実ではないでしょうか。これらについては対策が不完全であったと反省し、新たに対応すればよいと思います。対策が的確になればトラブルは時間と共に減少し、生産性の向上に繋がることになります。

 ところで、製造ラインを維持管理し、事故・品質トラブルの未然防止や品質の向上を図るためには、そこで働く人間の質(人質)の向上が不可欠です。ものづくりの現場に限らず、人は何れかの組織に属し、行動をします。不平不満があっても一定のルールに従い行動をしなければならないのですが、それができない人の行動が大小さまざまな問題を引き起こしています。人が介在する限り、人に起因する事故・品質トラブル発生の可能性は存在します。そこで、これらが発生する可能性を限りなくゼロに近づけなければなりません。精神論ではなく、倫理に関わる内容も含めた合理性のある教育訓練を行う必要があります。

 中国、呉の時代、孫武が説いた兵法書『孫子』(13篇)の第11篇は「九地 篇」です。「九地 篇(五)」には、戦争の上手な人を率然(蛇の名)にたとえて、以下のように記載されています。(出典:「孫子」(金谷治訳注))」

 
「故に善く兵を用うる者は、譬えば率然の如し。率然とは常山の蛇なり。其の首を撃てば則ち尾至り、其の尾を撃て
  ば則ち首至り。其の中を撃てば則ち首尾倶に至る。敢えて問う、兵は率然の如くならしむべきか。曰く可なり。夫れ
  呉人と越人との相い悪むや、其の舟同じくして済りて風に遇うに当たりては、其の相い救うや左右の手の如し。是の
  故に馬を方ぎて輪を埋むるとも、未だ恃むに足らざるなり。勇を斉えて一の若くするは政の道なり。剛柔な得るは地
  の理なり。故に善く兵を用うる者、手を攜うるが若くにして一なるは、人をして已むを得ざらしむるなり。」
 

 このような限られた空間において、敵対する相手と一緒になって、目前の問題解決にあたるには、所定の訓練が必要と思われます。例えば、過日、聴講した宇宙飛行士の山崎直子さんの講演「宇宙、人、夢をつなぐ」で、紹介された宇宙飛行士の訓練業務などの評価項目にも含まれている、自己管理(Self Management)、リーダーシップ(Leadership)、フォロアーシップ(Followership)、状況把握(Situational Awareness)などは欠くことができない能力と思われます。

 なお、作者の孫武については諸説あるようですが、wikipediaには次のように記載されています。
 
「金谷治は、『孫臏兵法』に「孫氏の道」とあることから、孫武を中心にした孫氏学派のような兵法家集団がおり、
  今の孫子兵法は孫武の作に兵法家たちが付加して成立したものだと考えており、天野鎮雄は、孫子兵法の重複部分を
  削ったものが、おそらく孫武の真作に近い部分ではないかと考え、「原孫子」を推定している。」

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2014.3.17)
                                           

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