安全情報メモ68Safety information
68)睡眠指針2014
近年、高血圧、心臓病などの悪化要因として無呼吸を伴う睡眠の問題が注目されており、事故の背景に睡眠の問題があるなど、社会問題としても顕在化してきています。厚生労働省では、1994年に休養指針を策定し、情報提供を行ってきましたが、より充実した睡眠に関するわかりやすい情報を提供することを目的として、2003年、「健康づくりのための睡眠指針」を策定しました。
この度、11年振りに、この睡眠指針が改訂されました。詳細は厚生労働省のホームページに報道発表資料(2014年3月31日)として掲載されていますが、2014年5月25日の徳島新聞には、改定作業を行った厚労省検討会の座長で日本大学医学部の内山真教授(精神医学)の話が載っていました。
また、2013年11月の日本機械学会誌には「眠りの科学とその応用ーよい眠りで豊かで明るい生活をー」が企画、特集されています。
ここでは、これらの内容を交えながら、改定された睡眠指針の概要を紹介します。
2014年策定指針
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11. いつもと違う睡眠には、要注意。
12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
(参考:2003年策定指針)
快適な睡眠のための7箇条
@快適な睡眠でいきいき健康生活
A睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眠のバロメーター
B快適な睡眠は、自ら創り出す
C眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる
D目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオン
E午後の眠気をやり過ごす
F睡眠障害は、専門家に相談
健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月、厚生労働省健康局)は睡眠12箇条とその解説、並びに参考資料で構成されています。
参考資料は、(1)指針改定の背景 (2)指針の科学的根拠 (3)睡眠障害について (4)文献 からなり、指針改定に際しての方向性が、(1)の指針改定の背景の中で、次のように明記されています。
@科学的根拠に基づいた指針とする。
Aライフステージ・ライフスタイル別に記載する。
B生活習慣病・こころの健康に関する記載を充実する。
個人差はありますが、人の体内時計の周期は外界の明暗周期の24時間より長いため、人は24時間周期に同調した生活を送っています。通常、人の体内時計は、朝の起床後に強い光を浴びることによって調整されているようです。しかし、ものづくりの現場などにおける24時間三交替勤務では、生体リズムの調節機能に異常が生じ、睡眠障害が引き起こされることがあります。そして、例えば、この睡眠障害による睡眠不足が作業能力を低下させたり、また、集中力や判断力を低下させることにより労働災害や品質に関わるトラブルを引き起こしたりする可能性も否定できません。交替勤務者の健康状態、特に三交替勤務者の睡眠障害の有無を把握し、個々に適した勤務体制を組むことは生産性向上には不可欠と考えます。
「健康を保つ 知っておきたい睡眠の病気(塩見利明,内田亜希子,日本機械学会誌2013.11 Vol.116,757-760)には、医学的に90種類以上ある睡眠障害という病気のうち、代表的な次の6例が紹介されています。
1)不眠症
2)睡眠時無呼吸症候群(SAS)
3)過眠症(ナルコレプシー等)
4)むずむず脚症候群(RLS)
5)レム睡眠行動障害(RBD)
6)概日リズム睡眠障害(CRSD)
当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2014.6.19)