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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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安全情報メモ58Safety information

58)床上操作式クレーン(原動機・電気・力学)

床上操作式クレーンに関する基礎知識について主な項目を紹介します。ここでは項目のみの紹介としていますので、詳細については関連の書籍、ウェブ資料等でご確認ください。

1)原動機
 原動機とは、自然界に存在するさまざまなエネルギーを力学的エネルギー(機械的な仕事)に変換する機械や装置を総称したものです。流体機械、熱機関および電動機に大別されています。
 床上操作式クレーンに用いられている原動機は殆どが電動機によるものです。クレーンの動力源である電動機は頻繁に正転、逆転、停止を繰り返すので、耐久性が求められます。クレーンでは殆どが交流電動機の一種である三相誘導電動機が用いられています。三相誘導電動機は回転子の構造により「かご形」と「巻線形」があります。クレーンには「巻線形誘導電動機」が多く用いられています。二次側(回転子)側が巻線となっており、スリップリングを通して外部抵抗と接続するようになっています。この抵抗を順次短絡させることにより始動電流の制限やある程度の速度制御が可能となります。

2)電気
2-1)感電

 クレーンの点検、修理中にトロリ線やその他の充電部に触れて電撃を受け、その衝撃で墜落し重大な災害につながることがあります。人体に電流が流れることを感電といいますが、低い電圧であっても軽視することはできません。
 以下に述べるとおり、状況によっては死に至る場合があるので注意が必要です。
  電流は値によって次のように分類(参考:新しい時代の安全管理のすべて(大関親))されています。
   @最小感知電流      人が電撃を感覚する最小電流(交流で0.5mA)のことです。
   A苦痛電流        苦痛に耐えられる限界の電流(交流で7〜8mA)のことです。
   B不随意電流又は離脱電流 運動の自由がきかなくなる限界の電流(交流で概ね10mA)、意識不明や死に至る場
               合があります。
   C心室細動電流      血液の循環に支障をきたし、死に至る電流(計測不能、50mAとする文献あり)のこ
               とです。
 また、電撃時間と危険接触電圧の関係、電撃時間と危険電流の関係なども求められています。
 このように小さな電流でも人体に流れると非常に危険です。そして、高電圧の送電線には、クレーンのジブなどが接近しただけでも放電によって電流が大地に流れることがあるので注意が必要です。特に、送配電線近接作業の場合には安全距離の確認などの留意点を事前に抽出し、それらを遵守しつつ、細心の注意を払い、適正な作業を行わなければなりません。
2-2)制御方式
 電動機の制御方式は操作面から、直接制御と間接制御の大きく二つに分けられます。
 床上操作式クレーンは間接制御方式となっています。
 間接制御では、電動機回路に電磁接触器を組み込んでいます。電動機の電流の開閉はこの電磁接触器により行います。従って、運転者の操作する制御器は、「この電磁接触器の励磁コイルを操作する回路を開閉する」だけなので、小型軽量化できます。

3)力学
 床上操作式クレーンに必要な力学とは、荷の巻上げ、巻下げ、移動などを行う場合の荷の運動と力に関するものです。床上操作式クレーンの運転にも力学の知識が不可欠です。床上操作式クレーンに必要な力学の知識は小型移動式クレーンや玉掛け作業と共通しています。詳細については安全情報メモ39)玉掛け作業(力学の知識)をご覧ください。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2014.2.18)