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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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安全情報メモ40Safety information

40)玉掛け作業(玉掛け方法・用具の知識)

 安全な玉掛け作業をするためには玉掛け用具を使用する各種のクレーン等に関する知識や力学に関する知識の習得が必要です。 
 同時に、クレーン等の玉掛けには、玉掛け方法・用具の選定及び取扱いに関する知識が不可欠です。玉掛け作業に係わる死亡災害や重大災害には玉掛け作業における基本的な安全上の措置が不十分だったために発生したと思われるものが含まれています。例えば、玉掛け方法の選定が不適切でつり荷が落下したもの、玉掛け用具の点検が不十分で、劣化や損傷箇所を見逃したため、破損し、つり荷が落下したもの等があります。

 これらの状況を踏まえ、当時の労働省により平成12年2月24日、基発第96号「玉掛け作業の安全に係るガイドラインの策定について」が各都道府県労働基準局長あてに発出されています。概要については安全情報メモ35 玉掛け作業(労働災害事例)にて紹介しています。

 
玉掛け用具(玉掛け用ワイヤロープ、玉掛け用つりチェイン、フック、シャックル)に関してはクレーン等安全規則の第8章第1節第213条〜第220条玉掛け用具に規定されています。規定されていないクランプ、ハッカー(安全係数5以上)やベルトスリング、ラウンドスリング(安全係数6以上)については日本クレーン協会規格により定められています。また、個々の玉掛け用具の構造、取り扱い方法などについては日本クレーン協会発行の技能講習用テキストなどに図や写真入りで詳述されています。

 ここでは、まず最初に、玉掛け作業の安全に係るガイドラインの「6 日常の保守点検の実施」の「(2)項」に記載されている別紙の点検方法及び判定基準について紹介します。
     
6 日常の保守点検の実施   
      事業者は、玉掛け用ワイヤロープ等の玉掛用具について、以下に従って点検及び補修等を行うこと。
      (1) 玉掛用具に係る定期的な点検の時期及び担当者を定めること。
      (2) 点検については別紙の点検方法及び判定基準により実施するとともに、点検結果に応じ必要な措置を
        講じること。
      (3) 点検の結果により補修が必要な場合は、加熱、溶接又は局所高加圧による補修は行わないこと。    
      (4) 玉掛用具の保管については、腐食、損傷等を防止する措置を講じた適切な方法で行うこと。

 表1及び2は別紙を二分割したものです。表1には玉掛け用ワイヤロープ、玉掛け用つりチェイン、ベルトスリングの点検方法と判定基準を記載しています。また、表2にはフック、クランプ、ハッカー、シャックルの点検方法と判定基準を記載しています。
表1.主な玉掛け用具の点検方法及び点検基準
(出典:玉掛け作業の安全に係るガイドラインの別紙)

表2.主な玉掛け用具の点検方法及び点検基準
(出典:玉掛け作業の安全に係るガイドラインの別紙)


次に、玉掛け作業の安全に係るガイドラインの「5 玉掛けの方法の選定」について紹介します。玉掛けの方法の選定は3項目からなっています。(1)項(図1)、(2)項(図2〜9)、(3)項(図10)と全項目で10枚の図を用いて玉掛けの方法を説明しています。ここでは、(1)共通事項のイ〜ヘ項の内、図で説明されているロ項を例として示します。
      5 玉掛けの方法の選定
       事業者は、玉掛け作業の実施に際しては、玉掛けの方法に応じて以下の事項に配慮して作業を行わせるこ
       と。

       (1) 共通事項
         イ 玉掛用具の選定に当たっては、必要な安全係数を確保するか又は定められた使用荷重等の範囲内
           で使用すること。
         ロ つり角度(図1のa)は、原則として90度以内であること。

         ハ〜へ(省略)
       (2) 玉掛け用ワイヤロープによる方法  
       (3) クランプ、ハッカーを用いた方法

図1.つり角度(2、3、4本つり)
(出典:
玉掛け作業の安全に係るガイドライン)

 

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2013.11.12)