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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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技術情報メモ60Technical information

60)事故・トラブル未然防止の方法論(第1回 設計の役割)

 広辞苑によると、設計とは「@ある目的を具体化する作業。製作・工事などに当たり、工費・敷地・材料及び構造上の諸点などの計画を立て、図面その他の方式で明示すること。A比喩的に、人生や生活において計画を立てること。」とあります。
 トラブルがなく安定稼動が実現したラインで製造された製品の品質は安定しています。製造ラインを安定稼働させるためには製造ラインを構成する各機械装置を安定稼働させなければなりません。製品の品質を高めるためには各機械装置の品質(信頼性)を高めなければならないのです。
 各機械装置の信頼性を高めるためには、設計段階で、各部品、メカニズム等の品質を作り込み、高めておかなければなりません。機械装置の製作工程には組立調整の段階があり、設計のミスを見事に補完する「職人の技」が飛び出すこともありますが、ほとんどの場合において設計の未熟さまではカバーしきれません。機械装置の信頼性は設計において品質が作り込めているか否かにかかっています。
 ものづくりの現場における設計にはハードとソフトの両面があります。ハード面は上述した機械装置など、ソフト面は製造ラインの制御システムなどをさしています。ソフト面には、例えば、検査装置で不良品と判定されて排出された製品の取り扱いなどの手順書の作成も含まれます。介在する人によって品質に差が生じてはなりません。品質は人質の管理により確保されるのかも知れません。
 ところで、製造ラインを安定化させるためには、例えば、パレート分析により、優先順位をつけて、トラブル要因の
対策を行いますが、実施した対策が成果として現れるまでに多少のタイムラグがあります。このため、製造ラインのト
ラブル対策率が高くなるにつれて、例えば、稼働率が急上昇することがあります。しかし、既に90%台に達している稼働率を更に1%アップさせるにはかなりのエネルギーを必要とします。それ故、対策は、その効果が現われるまで、あきらめずに継続することが肝要です。このように一旦、稼働し始めた製造ラインの信頼性を高める作業は容易ではありません。やはり信頼性は設計段階で高めておかなければなりません。源流管理をきちんと行う必要があるのです。
 日本品質管理学会発行の「日本の品質を論ずるための品質管理用語85」には「源流管理」が次のように定義されています。
   
製品・サービスを生み出す一連のプロセスにおいて、可能な限り上流のプロセスを維持向上・改善・革新     することで効果的・効率的に品質保証を達成する体系的な活動。

 そして、源流は、製品・サービスの企画から販売までの流れの中における上流とサプライチェインの中における上流
の二つの側面を有しており、設計は前者の「企画・計画、設計・開発」に含まれています。
 表1は設計の流れと確認項目をまとめたものです。まず、製品企画の段階では顧客ニーズなどを基に構想設計を行い
ます。構想がまとまると製品(詳細な形状や構造に関する)設計に移ります。この段階で設計者は不具合を漏れなく予
測しなければなりません。設計者は不具合を予測するため、FMEAやFTAなどを実施し、設計に反映し、製品試作を行い
ます。試作品において評価、確認を得た後、生産の準備に入ります。これら一連の流れの中で、関連の部署では検討会
を行ったり、多くの専門家によるデザインレビューが行われます。デザインレビューは、その目的が設計レベルの向上
であることを認識して実施しなければ時間と金の浪費につながるので、注意が必要です。

表1.設計の勘どころ(設計の流れと確認項目)

 
 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。 (2014.7.23)

                                           

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