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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

TEL. 088-694-3482

〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

安全情報メモ76Safety information

76-3)西日本高速道路その後(新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故B)

 2016年4月22日に神戸市北区の新名神高速道路の建設現場で作業員10人が死傷した橋桁落下事故で、業務上過失致死傷罪に問われた横河ブリッジの元現場所長に神戸地裁は2019年4月23日、「判断の誤りで多くの死傷者を出した」として禁固3年、執行猶予5年の判決を言い渡したと4月24日のマスメディア各社は報じていました。
 裁判長は判決理由で「
さしたる根拠もなく地面を踏んだ感覚などから地盤は固いと感じ、調査は必要ないと判断した。安全面に細心の配慮が求められる現場所長として軽率だ」と指摘しました。
 判決の基になった事件の概要は以下のとおりです。
   
2016年4月22日16時30分頃、国道176号、有馬川及び旧176号を横過する有馬川橋橋桁の降下作業準備中に、何ら
  かの原因により上り線橋桁(約120m,約1,350t)が、国道176号上に落下し、作業員10名が死傷(死亡者2名、負
  傷者8名)しました。

 
 西日本高速道路は技術検討委員会を設置し、原因の究明と再発防止対策を検討していましたが、6月19日「有馬川橋橋
桁落下事故に関する技術検討委員会」(第3回)において中間とりまとめ)がなされました。そして、6月24日に開催された
国土交通省の社会資本整備審議会 道路分科会第5回道路技術小委員会において報告しました。(配付資料5「新名神高速道
路有馬川橋橋桁落下事故・余野川橋ベント転倒事故について」( http://www.mlit.go.jp/common/001136056.pdf))。
 発生原因は 要約すると、「ベント基礎部に不等沈下が生じ、 ベント支柱の傾斜が進行したことにより、橋桁が仮受ジ
ャッキ側に押される水平力が生じていた。しかし、橋桁は仮受ジャッキ2基と仮支承2基のみで支持されていたため、安
定性が損なわれ、橋桁が逸脱し、反力バランスが崩れ、橋桁全体が搖動し落下した。」とされています。

 事故から約二年経った2018年の2月から3月にかけて責任の所在を巡る二つの動きがありました。マスメディア各社
は概ね以下のような内容を報じていました。
(1)2018年2月22日 労働安全衛生法違反容疑で書類送検
   2015年9月に新名神高速の橋梁架設工事を始める際、工事開始の14日前までに建設工事計画を神戸西労基署に届
   け出なかった(建設工事計画には図面や工法などが記載されており、同社は期限を過ぎた後に提出)疑いで、元請
   けの横河ブリッジ(千葉県船橋市)と現場責任者だった男性を書類送検した。
  ⇒事故防止に必要な手続きを行っていなかったことは安全管理上問題で、落下事故の遠因となった(兵庫労働局)。(2)2018年3月16日 業務上過失致死傷の疑いで書類送検の方針
   2016年4月、橋桁が落下し作業員10人が死傷した事故で、兵庫県警は15日、落下の危険性を認識しながら安全対
   策を怠ったとして、所長と技術指導や労災防止を担当する工事責任者3人を書類送検する方針。
  ⇒事故発生前日に橋桁東側の門型クレーンが約2〜4センチ沈んでいたことを知りながら、十分な安全対策をせずに
   工事を続けるなどして事故を発生させた疑い。
  ⇒工事前に必要な地質調査、地盤沈下対策やNEXCO西日本が定めた橋桁東側の地盤調査などの安全措置を講じな
   かった疑い。

 
リスクアセスメントにおける危険作業の特定に当たっては、重大な「潜在するリスク」を漏れなく発掘できるかどうかが最大のポイントです。当該事故のように「リスク」が現出しているにも拘らず対応しなかったことについてはもはや弁解の余地は無いと言えます。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  
(2019.6.24)
                                           

76-2)リスクアセスメント(新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故A)

 2016年4月22日16時30分頃、国道176号、有馬川及び旧176号を横過する有馬川橋橋桁の降下作業準備中に、何らかの原因により上り線橋桁(約120m,約1,350t)が、国道176号上に落下し、作業員10名が死傷(死亡者2名、負傷者8名)しました。
 西日本高速道路は技術検討委員会を設置し、原因の究明と再発防止対策を検討していましたが、6月19日「有馬川橋橋桁落下事故に関する技術検討委員会」(第3回)において中間とりまとめ)がなされました。そして、6月24日に開催された国土交通省の社会資本整備審議会 道路分科会第5回道路技術小委員会において報告しました。(配付資料5「新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故・余野川橋ベント転倒事故について」( http://www.mlit.go.jp/common/001136056.pdf))。
 発生原因は 要約すると、「ベント基礎部に不等沈下が生じ、 ベント支柱の傾斜が進行したことにより、橋桁が仮受ジャッキ側に押される水平力が生じていた。しかし、橋桁は仮受ジャッキ2基と仮支承2基のみで支持されていたため、安定性が損なわれ、橋桁が逸脱し、反力バランスが崩れ、橋桁全体が搖動し落下した。」とされています。
 事故から約二年経った2018年の2月から3月にかけて責任の所在を巡る二つの動きがありました。マスメディア各社は概ね以下のような内容を報じていました。
(1)2018年2月22日 労働安全衛生法違反容疑で書類送検
   2015年9月に新名神高速の橋梁架設工事を始める際、工事開始の14日前までに建設工事計画を神戸西労基署に届
   け出なかった(建設工事計画には図面や工法などが記載されており、同社は期限を過ぎた後に提出)疑いで、元請
   けの横河ブリッジ(千葉県船橋市)と現場責任者だった男性を書類送検した。
  ⇒事故防止に必要な手続きを行っていなかったことは安全管理上問題で、落下事故の遠因となった(兵庫労働局)。(2)2018年3月16日 業務上過失致死傷の疑いで書類送検の方針
   2016年4月、橋桁が落下し作業員10人が死傷した事故で、兵庫県警は15日、落下の危険性を認識しながら安全対
   策を怠ったとして、所長と技術指導や労災防止を担当する工事責任者3人を書類送検する方針。
  ⇒事故発生前日に橋桁東側の門型クレーンが約2〜4センチ沈んでいたことを知りながら、十分な安全対策をせずに
   工事を続けるなどして事故を発生させた疑い。
  ⇒工事前に必要な地質調査、地盤沈下対策やNEXCO西日本が定めた橋桁東側の地盤調査などの安全措置を講じな
   かった疑い。

 リスクアセスメントにおける危険作業の特定に当たっては、重大な「潜在するリスク」を漏れなく発掘できるかどうかが最大のポイントです。当該事故のように「リスク」が現出しているにも拘らず対応しなかったことについてはもはや弁解の余地は無いと言えます。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  
(2018.4.25)
                                           

76-1)リスクアセスメント(新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故)

 2016年4月22日16時30分頃、国道176号、有馬川及び旧176号を横過する有馬川橋橋桁の降下作業準備中に、何らかの原因により上り線橋桁(約120m,約1,350t)が、国道176号上に落下し、作業員10名が死傷(死亡者2名、負傷者8名)しました。

 さらに、5月19日9時55分頃、架設中の余野川橋の下り線において、橋桁を架設する際に設置している仮受設備(ベント約21t)が、何らかの理由により桁下を通過する箕面有料道路上に転倒するという事故が発生しました。

 後者は第三者の被害はありませんでしたが、国土交通省は工事を発注した西日本高速道路に対し、原因究明と再発防止策を早急にまとめ、報告するよう指示しました。

 西日本高速道路は技術検討委員会を設置し、原因の究明と再発防止対策を検討していましたが、6月19日「有馬川橋橋桁落下事故に関する技術検討委員会」(第3回)において中間とりまとめ)がなされました。そして、6月24日に開催された国土交通省の社会資本整備審議会 道路分科会第5回道路技術小委員会において報告しました。(配付資料5「新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故・余野川橋ベント転倒事故について」( http://www.mlit.go.jp/common/001136056.pdf))。

 発生原因は 要約すると、「ベント基礎部に不等沈下が生じ、 ベント支柱の傾斜が進行したことにより、橋桁が仮受ジャッキ側に押される水平力が生じていた。しかし、橋桁は仮受ジャッキ2基と仮支承2基のみで支持されていたため、安定性が損なわれ、橋桁が逸脱し、反力バランスが崩れ、橋桁全体が搖動し落下した。」とされています。

図1.事故状況
  イメージ

(出典:国土交通省社会資本整備審議会 道路分科会第5回道路技術小委員会配付資料5「新名神高速道路有馬川橋橋桁落下事故・余野川橋ベント転倒事故について」)


 発生メカニズムの詳細は資料(5http://www.mlit.go.jp/common/001136056.pdf)及び社会資本整備審議会 道路分科会 第5回道路技術小委員会 平成28年6月24日(http://www.mlit.go.jp/common/001145738.pdf)でご確認ください。
 
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(2016.9.28)
                                           

76)リスクアセスメント(特急あわや正面衝突)

 2015年5月22日午後0時20分ごろ、佐賀県のJR長崎線肥前竜王駅で、特急同士が、あわや正面衝突かという事態が発生しました。下りの特急かもめ19号が本線から待避線に進入し、待避線に停車していた上りの特急かもめ20号の93m手前で手動の非常停止ブレーキをかけて緊急停止したものです。
 政府の運輸安全委員会は22日、事故につながる恐れのあった重大インシデントと判断、鉄道事故調査官2人を現地に派遣しました。
 運輸安全委員会のホームページに掲載された本件の概要は次のとおりです。
今後、1...事故の認知と調査官の派遣 2...事実調査、試験研究及び総合的な解析 3...委員会(部会)審議 4...報告書の提出・公表 の流れで真実の追究がなされます。
   
当該下り列車が当該駅の2番線に進入しようとした際に、運転士が異音を感知したため、非常ブレーキをかけ場内
   信号機付近に停止した。その後、運転を再開し、速度約35km/hとなったときに、上り列車の停止している1番線
   に進入したため、非常ブレーキをかけ停止している列車の手前約93mに停止した。

 なお、現状の調査状況は「調査中」、事故等の種類は「信号冒進等」となっています。

図1.特急あわや正面衝突
(出典:2015年5月23日徳島新聞(31)社会、
     なお、吹き出し3か所は当事務所にて加筆)


 当日は、運行が遅れたため、擦れ違う駅が本来の肥前鹿島駅から、肥前竜王駅に変わり、先に上りの特急かもめ20号が待避線に入っていたようです。定常ではない非定常作業の時、事故は発生する傾向があります。今後の真相解明が待たれます。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。   (2015.7.4)
                                           

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