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阿部技術士・労働安全コンサルタント事務所は、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。

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〒771-1330 徳島県板野郡上板町西分字橋北16番地2

安全情報メモ38Safety information

38)玉掛け作業(クレーン等の安全措置)

 玉掛け作業とは、玉掛け用具を用いて行う荷掛け、荷外しなどの一連の作業のことです。玉掛け用具には 吊りチェーン、フック、シャックル、リング、アイ、ワイヤロープ、繊維ロープ、繊維ベルトなどがあります。これらの玉掛け用具を使用する各種のクレーン等の運転者と玉掛け作業者は緊密に連携しながら作業を行わなければなりません。
 玉掛け作業は使用するクレーン、移動式クレーン及びデリックのつり上げ荷重又は揚貨装置の制限荷重に応じて法令で定める資格を有する者でなければ当該業務を行ってはなりません。また、安全な玉掛け作業をするためには玉掛け用具を使用する各種のクレーン等に関する知識の習得が不可欠となります。
 玉掛け作業に必要なクレーン等の安全措置については、クレーン等安全規則で定められています。当該規則にはクレーン、移動式クレーン、エレベーター、デリック、建設用リフト及び簡易リフトが含まれていますが、ここでは代表してクレーンに規定されている安全措置について紹介します。

1)巻過ぎの防止 
過巻防止装置の作動するフック等の巻上装置(上・下の間隔0.25m以上)
  第18条 事業者は、クレーンの巻過防止装置については、フツク、グラブバケツト等のつり具の上面又は当該つり
     具の巻上げ用シーブの上面とドラム、シーブ、トロリフレームその他当該上面が接触するおそれのある物(傾
     斜したジブを除く。)の下面との間隔が0.25m以上(直働式の巻過防止装置にあつては、0.5m以上)となる
     ように調整しておかなければならない。
  第19条 事業者は、巻過防止装置を具備しないクレーンについては、巻上げ用ワイヤロープに標識を付すること、
     警報装置を設けること等巻上げ用ワイヤロープの巻過ぎによる労働者の危険を防止するための措置を講じなけ
     ればならない。
2)外れ止め装置の使用 
玉掛け用ワイヤロープ等が、フックから外れることを防止するための装置
  第20条の2 事業者は、玉掛け用ワイヤロープ等がフツクから外れることを防止するための装置(以下「外れ止め
     装置」という。)を具備するクレーンを用いて荷をつり上げるときは、当該外れ止め装置を使用しなければな
     らない。
3)過負荷の制限
 定格荷重の遵守、やむを得ない事由により定格荷重をこえる場合は、あらかじめクレーン特例報告
         書
を所轄労基署長へ提出(クレーン特例報告書(様式第10号))
  第23条 事業者は、クレーンにその定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない。
     2  前項の規定にかかわらず、事業者は、やむを得ない事由により同項の規定によることが著しく困難な場
      合において、次の措置を講ずるときは、定格荷重をこえ、第6条第3項に規定する荷重試験でかけた荷重ま
      で荷重をかけて使用することができる。
       一  あらかじめ、クレーン特例報告書(様式第10号)を所轄労働基準監督署長に提出すること。
       二  あらかじめ、第6条第3項に規定する荷重試験を行ない、異常がないことを確認すること。
       三  作業を指揮する者を指名して、その者の直接の指揮のもとに作動させること。
     3  事業者は、前項第二号の規定により荷重試験を行なつたとき、及びクレーンに定格荷重をこえる荷重を
      かけて使用したときは、その結果を記録し、これを3年間保存しなければならない。
4)傾斜角の制限 
ジブクレーン明細書に記載された傾斜角(つり上げ荷重3t未満のジブクレーンでは、製造者の指
         定した傾斜角)の遵守

  第24条 事業者は、ジブクレーンについては、クレーン明細書に記載されているジブの傾斜角(つり上げ荷重が3t
     未満のジブクレーンにあつては、これを製造した者が指定したジブの傾斜角)の範囲をこえて使用してはなら
     ない。
5)定格荷重の表示等 
運転者および玉掛者が定格荷重を常時知ることができるように表示
  第24条の2 事業者は、クレーンを用いて作業を行うときは、クレーンの運転者及び玉掛けをする者が当該クレーン
     の定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の措置を講じなければならない。 運転の合図第25条 
     運転について一定の合図を定め、合図を行う者を指名し、その者に合図を行わせること 事業者は、クレーン
     を用いて作業を行なうときは、クレーンの運転について一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その
     者に合図を行なわせなければならない。ただし、クレーンの運転者に単独で作業を行なわせるときは、この限
     りでない。
    2 前項の指名を受けた者は、同項の作業に従事するときは、同項の合図を行なわなければならない。
    3 第1項の作業に従事する労働者は、同項の合図に従わなければならない
6)搭乗の制限 
クレーンによる労働者の運搬、労働者をつり上げて作業させることの禁止。
        やむを得ず搭乗させる場合は、専用の墜落防止措置を講じた搭乗設備を設ける。

  第26条 事業者は、クレーンにより、労働者を運搬し、又は労働者をつり上げて作業させてはならない。     
  第27条 事業者は、前条の規定にかかわらず、作業の性質上やむを得ない場合又は安全な作業の遂行上必要な場合
     は、クレーンのつり具に専用のとう乗設備を設けて当該とう乗設備に労働者を乗せることができる。
    2 事業者は、前項のとう乗設備については、墜落による労働者の危険を防止するため次の事項を行わなければ
     ならない。
      一 とう乗設備の転位及び脱落を防止する措置を講ずること。
      二 労働者に安全帯(令第13条第3項第28号 の安全帯をいう。)その他の命綱(以下「安全帯等」とい
        う。)を使用させること。
      三 とう乗設備を下降させるときは、動力下降の方法によること。
    3 労働者は、前項の場合において安全帯等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
7)立入禁止 
ケーブルクレーンによる作業時の立入禁止措置、クレーン作業中の吊り荷の下の立入禁止措置。
  第28条 事業者は、ケーブルクレーンを用いて作業を行なうときは、巻上げ用ワイヤロープ若しくは横行用ワイヤ
     ロープが通つているシーブ又はその取付け部の破損により、当該ワイヤロープがはね、又は当該シーブ若しく
     はその取付具が飛来することによる労働者の危険を防止するため、当該ワイヤロープの内角側で、当該危険を
     生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。        
  第29条 事業者は、クレーンに係る作業を行う場合であつて、次の各号のいずれかに該当するときは、つり上げら
     れている荷(第六号の場合にあつては、つり具を含む。)の下に労働者を立ち入らせてはならない。
      一 ハッカーを用いて玉掛けをした荷がつり上げられているとき。
      二 つりクランプ一個を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているとき。
      三 ワイヤロープ、つりチェーン、繊維ロープ又は繊維ベルト(以下第115条までにおいて「ワイヤロープ
        等」という。)を用いて一箇所に玉掛けをした荷がつり上げられているとき(当該荷に設けられた穴又
        はアイボルトにワイヤロープ等を通して玉掛けをしている場合を除く。)。
      四 複数の荷が一度につり上げられている場合であつて、当該複数の荷が結束され、箱に入れられる等によ
        り固定されていないとき。
      五 磁力又は陰圧により吸着させるつり具又は玉掛用具を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているとき
      六 動力下降以外の方法により荷又はつり具を下降させるとき。  
8)暴風時における逸走の防止
  第31条 事業者は、瞬間風速が毎秒30mをこえる風が吹くおそれのあるときは、屋外に設置されている走行クレー
     ンについて、逸走防止装置を作用させる等その逸走を防止するための措置を講じなければならない。
9)強風時の作業中止
  第31条の2 事業者は、強風のため、クレーンに係る作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業を中
       止しなければならない。
10)強風時における損壊の防止
  第31条の3 事業者は、前条の規定により作業を中止した場合であつてジブクレーンのジブが損壊するおそれのあ
       るときは、当該ジブの位置を固定させる等によりジブの損壊による労働者の危険を防止するための措置を
       講じなければならない。
11)運転位置からの離脱の禁止
  第32条 事業者は、クレーンの運転者を、荷をつつたままで、運転位置から離れさせてはならない。
    2 前項の運転者は、荷をつつたままで、運転位置を離れてはならない。
12)組立て等の作業
  第33条 事業者は、クレーンの組立て又は解体の作業を行なうときは、次の措置を講じなければならない。
      一 作業を指揮する者を選任して、その者の指揮のもとに作業を実施させること。
      二 作業を行なう区域に関係労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所
        に表示すること。
      三 強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労働者
        を従事させないこと。
    2 事業者は、前項第一号の作業を指揮する者に、次の事項を行なわせなければならない。
      一  作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を指揮すること。
      二  材料の欠点の有無並びに器具及び工具の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
      三  作業中、安全帯等及び保護帽の使用状況を監視すること。
13)特別の教育
  第21条 事業者は、次の各号に掲げるクレーンの運転の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、当該
     業務に関する安全のための特別の教育を行わなければならない。
      一  つり上げ荷重が5t未満のクレーン
      二  つり上げ荷重が5t以上の跨線テルハ
    2  前項の特別の教育は、次の科目について行わなければならない。
      一  クレーンに関する知識
      二  原動機及び電気に関する知識
      三  クレーンの運転のために必要な力学に関する知識
      四  関係法令
      五  クレーンの運転
      六  クレーンの運転のための合図
    3 安衛則第37条 及び第38条 並びに前2項に定めるもののほか、第1項の特別の教育に関し必要な事項は、厚
      生労働大臣が定める。
14)就業制限
  第22条 事業者は、令第20条第六号 に掲げる業務については、クレーン・デリック運転士免許を受けた者でなけれ
     ば、当該業務に就かせてはならない。ただし、床上で運転し、かつ、当該運転をする者が荷の移動とともに移
     動する方式のクレーン(以下「床上操作式クレーン」という。)の運転の業務については、床上操作式クレー
     ン運転技能講習を修了した者を当該業務に就かせることができる。

 当事務所では人間行動に起因する事故・品質トラブルの未然防止をお手伝いします。また、ものづくりの現場の皆様の声を真摯に受け止め、ものづくりの現場における労働安全の構築と品質の作り込みをサポートします。  (2013.11.7)
                                           

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